1987年。
僕は初めてのアメリカの地に立っていた。
これは、憧れだったアメリカとの決別の旅の記憶である。
デザイナー木ノ下努がデザイナーという職業の存在さえ知らなかった、まだ若い痩せっぽちのコンポーザーでミュージシャンだった1987年に訪れたロサンゼルス。
憧れだったアメリカはそこには存在していなかった。
メルローズは活気がなく、街の片隅には観光客が近づくことさえできないスラム街があった。
ラルフスにはヘルス・エンジェルスの大群が集まっていた。
ハンバーガーは美味しかったが、それ以外はどれも不味かった。
エンターテイメントに溢れた都市という雰囲気は微塵もなく、ただただ安っぽくて田舎臭く、常に犯罪と隣り合わせな町だと感じていた。
僕が憧れ夢見ていたあのアメリカはそこには存在していなかった。
〜本文より
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